脇指 銘 泰行 附)黒蝋色塗鞘脇指拵
古刀 室町時代中期 (明応頃/約510年前)阿波海部
刃長26.9cm 反り 1.5cm 元幅27.5mm 元重6.0mm
保存刀剣 保存刀装具
剣形:平造り、庵棟、身幅・重ねとも尋常で刃長は壱尺参寸八分半と伸び、反りが浅く付く。表には棒樋、裏にはやや短かめの腰樋の彫物がある。
鍛肌:板目肌に大杢目肌交え連なるところがあり、綾杉風の地金を呈し、総体によく練れて潤いのある地金。地には白けた映りが発ち、古雅でかつ野趣のある肌合い。
刃紋:区際は焼落とし気味に小の互の目や丁字交えて上半は解れや二重刃ごころとなり刃中に金線が働く。小の鼠足が頻りと刃中に働く古雅な様相を呈する。
中心:茎生ぶ、茎目釘孔二個、鑢目は切、栗尻、棟肉平。掃表の下方に二字銘「泰行」とある。
帽子:表は乱れ込んで焼詰めごころ、裏は同様に小乱れに解れを交えて焼詰める。
阿波海部刀の中で最も世に知られているものは、三好長慶旧蔵・黒田家伝来の阿州氏吉作(名物岩切海部)ですが、中世海部の古刀には「藤」「師久」「氏吉」「泰吉」「泰長」「氏重」そして本作「泰行」等が発見されています。綾杉肌や刃紋は大和伝を踏襲しており、伝法は大和から九州薩摩の波平へと伝達され、そして、阿波の海部へと導入されたことを首肯する作域を表出している。大坂の陣で戦功のあった片切刃造りや、外に例を見ない「のこぎり刃造り」など、海部刀は独特の発展を遂げています。中世戦国の室町時代、海部川のほとりに六十数人の海部の刀工が活躍したと伝えられる。海部城主は、自ら刀を鍛えると共に水軍の用途に即した需要に応えたを云われています。本作は平造でありながら寸が殊のほか延びた室町時代中期ごろまでに製作された姿をしている。附帯の黒蝋色塗鞘脇指拵は頭を黒漆塗角、縁は赤銅七々子地に小縁を金色絵、目貫は李白図、赤銅七々子地容彫 金色絵。小柄を貝殻図 赤銅七々子地 高彫 金銀色絵 鍔は鉄地に七曜紋を銀布目象嵌で桶底耳に散らしている。柄は白鮫着、白細糸蛇腹組上菱巻としている。はばきは上貝を沙綾形紋に金着せ、下貝を銀着。切羽は菊座に金着している。内外ともに保存状態の頗る宜しいものであり、今回研磨が施された。
白鞘付属