A38049(S7858)

刀 銘 備州長船祐定 大永二年八月日

古刀 室町時代後期(大永二年/1522) 備前
刃長 60.7cm 反り 1.8cm 元幅 28.7mm 先幅 19.9mm 元厚 7.6mm

保存刀剣鑑定書

剣形:鎬造り、庵の棟低く鎬筋が高く重ねが厚い。元身幅広めにやや深めの反りがつき、元先の幅差はさまに開かず物打ちの身幅も広めに中峰延びる。表裏には樋先が下がり、はばき上で丸留の棒樋の彫物がある。(刀身拡大写真
鍛肌:板目に杢を交え地景太く肌目が鮮やかに起ち、地沸ついて沸映りが鮮明に鉄色明るい。
刃紋:沸主調の湾れに複式互の目は蟹の爪状となり、尖りごころの丁子刃を交える。刃縁には小沸ついて一部の沸は地に溢れて湯走りごころとなる。刃中は匂い深く充満して足よくはいり、砂流しかかるなど躍動感に満ちる。
帽子:焼き強く・高く、互の目を焼いて乱れ込む。
茎:生ぶ、茎目釘孔弐個。片手打ちに適した短めの茎。鑢目は勝手下がり、棟肉平。栗尻強く張る。佩表の鎬地よりに『備州長船祐定』の六字銘を明瞭に刻し、同じく佩裏には一字分上がって『大永二年八月日』の年紀がある。

 備州長船祐定は勝光・清光らと並び『末備前』もしくは『永正備前』と呼称される室町時代後期の備前鍛冶を代表する名流。なかでも長船祐定家は『彦兵衛尉』、『与三左衛門尉』、『源兵衛尉』らの優れた棟梁を輩出して名高い。彼等の卓越した技量と優れた芸術的感性による打刀は美しい地刃を有し、卓越した操作性と斬れ味の秀逸を以て諸将の支持を得ておおいに繁盛した。
 本作は永正から大永頃に流布した片手打ちによる素早い抜刀に好適な打刀。鎬筋は凛として高く棟に向かい鎬地をやや削いだ強靭な肉置きは同時代の典型である。
 硬軟の鋼を板目に鍛造した地鉄には沸映りが鮮明に起ち、小沸主調の複式互の目の焼刃は常にまして賑々しい。五百有余年を経ても尚健全な体躯を保持し、地刃共に活力漲る旺盛な働きが十分に楽しめる祐定の秀品であり同工の優れた技量を明示する典型である。

銀無垢はばき、白鞘付属
参考文献:『長船町史 刀剣編図録』 長船町 平成十年