Tuba2471a

鉄地竪丸形地透鍔

蟹の図、変り形、槌目地、肉彫、丸耳

銘 一成造

成木一彦(中津川市無形文化財)

縦 81.6mm 横 77.3mm 6.2mm 耳厚

共箱(平成二十二年十月日 一成 落款)箱書

 

成木一彦氏は、昭和6年9月10日(1931)、岐阜県中津川市に生まれた。同35年(1960)頃、鐔の研究・試作をはじめ高橋介州氏に師事。同氏は長年にわたり、尾張・赤坂・金山鐔などの鉄鐔の復元を試み、自ら材料の砂鉄を全国各地から集め、自家製たたら製鉄によってその古雅な地鉄の再現に努めた。鉄地の表面処理の焼手腐らかし技法の復活にも挑戦し独自の鉄鐔の世界を展開している。胞山県立自然公園近くに居住し、号を胞山という。一成、一成造などの銘をみる。
昭和56年7月16日(1831)、中津川市の無形文化財保持者に認定、同61年(1986)に黄綬褒章を受章。平成21年(2009)、公益財団法人日本美術刀剣保存協会より無鑑査に認定された鐔の名工である。

本作は尾張鐔に範を求めたもの、漆黒の鉄地鍛は中低の肉置きがなされて、力強く無骨な耳には鍛鉄の力強い鉄骨が顕れて古雅な風合いを見事に具現している。平成二十二年(2010)、同氏80歳、円熟の代表作である。