T125975(W8053)

脇指 銘 備州長船盛光 応永十八年十月日 附)銀蛭巻朱塗鞘小さ刀拵

古刀 室町時代初期(応永十八年/1411) 備前
刃長 35.6cm 反り 0.4cm 元幅 26.7mm 元重 5.9mm

特別保存刀剣鑑定書

附)銀蛭巻朱塗鞘小さ刀拵

 

剣形:平造り、庵棟。尋常な身幅に比して寸が延びて僅かに反りがつく。室町時代初期に流布した平造り寸延脇指の典型的な体躯をしている。表の腰元には素剣の彫物、裏には護摩箸の彫物がある。(刀身拡大写真
鍛肌:杢目に板目交えてよく錬れて潤い精緻な鍛肌。刃寄りには地斑調の棒映りがたつ。
刃紋:小沸本位の直刃は腰元僅かにのたれて、逆がかった小互の目や僅かに節ごころを交えて匂口が明るい。
帽子:先僅かに尖り気味となり浅く返る。
中心:生ぶ茎。刃長に比してやや短めに僅かに反りがある。鑢目勝手下がり、棟肉平でここにも勝手下がりの鑢目がある。先栗尻。目くぎ穴二個(内一個埋)、指表中央に長銘『備州長船盛光』、裏には『應永十八年十月日』の制作年紀がある。

 室町時代初期、応永年間になると長船の地には格調高い作風を示す刀工達があらわれた。初代『盛光』は『倫光』の子、『兼光』の孫にあたり兄には『師光』がいる。
応永年間に『修理亮』を冠する二代『盛光』は当代随一の名匠として知られ、『康光』、『師光』とならび『應永備前』もしくは『備前三光』と称賛されている。
 同工の作域は腰開きの互の目乱れに丁子を交えた賑やかな作風と青江に念頭をおいた直刃の穏健な出来口がある。本作のごとく『応永杢』と呼ばれる美麗な杢目を交えた潤いある板目肌は、乱刃を焼く際と相違して鍛肌さらに精美につんで、刃縁より暗帯部のある地斑調の棒映りを伴い見事である。

附)銀蛭巻朱塗鞘小さ刀拵拵全体写真刀装具各部写真

  • 縁頭:兎図、赤銅魚子地、高彫、金小縁、無銘
  • 目貫:駿馬図、容彫、金色絵
  • 鐔:無文、赤銅磨地、無銘
  • 小柄:矢筒図、赤銅波文地、高彫色絵、裏哺金 銘 悦乗作 光侶(花押)とあり
  • 柄:黒漆塗鮫着、金茶色常組糸摘巻
  • 鞘:銀蛭巻朱漆塗

金着二重はばき、白鞘付属