H1461/2(S2228)

大小一腰

(大)銘:高木氏藤原忠栄佩剱 肥前国住遠江守藤原兼廣 (小)銘:遠江守藤原兼廣 高木氏藤原忠栄佩剱

新刀 江戸中期 (元禄 1688年頃)
長さ(大)70.8cm(小)55.0cm 反り(大)2.5cm(小)1.7cm 元幅(大)31mm(小)30mm 先幅(大)22.5mm(小)21.5mm 元重ね(大)7.5mm(小)7.0mm
付属:大小黒呂鞘拵 縁頭 唐獅子牡丹図

参考品

剣形:鎬造り、身幅幾分広め、反り深くつき、中峰
鍛肌:柾目肌よく練れ詰み、地景深く長く働き、地沸微塵につく
刃紋:湾れを基調に簾刃となり、匂い口深く、小沸よくつく。
中心:茎生ぶ、佩表棟よりに長銘、裏に所持銘がある
帽子:小丸にやや深く返り、掃きかける。
肥前国住遠江守藤原兼廣は初銘「兼若」佐賀城下の刀工で大和大掾兼廣の養子。吉貞の弟・広貞の子。寛永二十年に生まれ元禄十一年に遠江守を受領し、藩主の一門である鍋島弥平左衛門嵩就の抱え鍛冶となった。本作は高木氏藤原忠栄佩刀の大小一口で、反高く中峰に結ぶ優美な姿に純然たる柾目肌を焼き地景太く長く、そのまま簾刃となる珍しい注文打ちである。このような作は稀で注文主の意向が反映された貴重な大小一口といえる。
この刀は柾目肌美しく冴えかつ地金優れ、地沸つき、地景が太く長く働いた鍛えに、匂深の簾刃を焼いて、小沸つくなどの出来口で、兼廣としては珍しい作例を示している。本作は、黒呂鞘大小拵が付属している点に特筆すべきものがあり、赤銅唐獅子牡丹縁頭、獅子目貫、牡丹目貫も当時のもので、柘植鍔が付属している。柄巻きも当時のもので一分綻びを経眼する。最上砥ぎ。昭和31年の特別貴重刀剣に指定されている。
金着せはばき