A65092(T3716) 短刀 銘 廣次 附)鉄刀木地鞘短刀拵 | 保存刀剣 保存刀装具 |
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古刀 室町時代中期 (明応頃/1492~) 相模 刃長 20.9cm 反り 0.2cm 元幅 21.5mm 元厚 5.7mm |
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剣形:平造り三ツ棟。寸詰まり身幅控えめに重ね厚く、ふくら枯れごころ、ほぼ無反りの短刀。(刀身拡大写真) 鍛肌:地鉄やや青く沈み、地沸つき、大板目肌流れて肌立ち肌目が烈しく顕れる相州鍛錬の地鉄。 刃文:沸出来の湾れ刃に互の目をまじえた大乱れ。平地全面に焼刃跳び、棟焼きかかり所詮皆焼刃となる。刃縁にはやや粗めの沸がよく絡み鍛肌に呼応した金筋が表出して複雑に乱れて野趣に富む焼刃。 帽子:乱れのまま火炎風に掃きかけて返り長く、棟焼きに連ねる。 茎:生ぶ、刃側はたなご腹状となり棟寄りに反りがつく。目釘孔二個。先刃上がり栗尻、鑢目は浅めの勝手下り。茎棟小肉がついて、ここにも勝手下りの鑢目がある。第一目釘孔下方中央には古雅な二字銘『廣次』がある。 『廣次』は、相州鎌倉の『山の内』鍛冶『廣光』の後裔と伝えられ、南北朝時代永徳頃(1381~)に『廣次』の工名がはじまる。以降室町時代中期にかけて同銘が数代おり、以降は若狭国小浜に移住して『冬廣』一門に及ぶという。。 本作は時代明応頃(1492~)の廣次と鑑せられる。市川氏、名を長兵衛という。銘鑑によると、明応九年(1500)にはじまり、以降文亀二年(1502)、永正十年(1513)までの作刀がある。 寸詰まり、重ね厚めにほぼ無反りにふくらを控えた剣形。振り袖ごころの茎の造り込みは、所謂『右手指』を念頭に鎧の隙間を貫く実利の剣形ををしており迫力ある出来映えをしている。相州伝の鉄則を厳守する硬軟の鉄を鍛えた迫力ある大板目の地鉄、強熱急冷の皆焼・棟焼きの焼刃は打ち合いに備えての実利を重視したもので凄味がある。相州伝法を明示する強靱な地鉄と焼刃の構成は尚武の気風に溢れ雄渾たる武士の息吹を今に伝えている。 茎の刃方が張る所詮、たなご腹風となる形状は、武州下原派、駿河島田派、伊勢千子派に影響を与えた。 古研ぎのため僅かなひけ跡があります。 附)鉄刀木地鞘短刀拵(前面写真・背面写真・刀装具拡大写真)
参考文献 : 本間順治・佐藤貫一『日本刀大鑑 古刀篇一』大塚巧藝社 昭和四十三年 本間薫山・石井昌國『日本刀銘鑑』雄山閣、昭和五十年 |
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