A66890(S8872) 長巻直し刀 無銘 真景 特別保存刀剣
古刀 南北朝時代 (貞治頃/約650年前) 越中
刃長66.9cm 反り1.8cm 元幅31.4mm 先幅30.4mm 元重6.6mm
剣形:鎬造り、庵棟、身幅広く、鎬筋が高く、棟に向かって重ねを削いだ所詮長巻の造り込みで、先に行っても尚身幅が広く平肉が削がれた造り込み。横手は下がり、大切先が殊の外伸びた雄壮なる剣形をしている。(刀身全体写真
鍛肌:大板目肌に大杢目をまじえ、渦巻き、太い地景の沸筋は硬軟双方の地鉄の組み合わせ状態を顕著に著して且つ深淵から湧き出す所謂松川肌を呈し、鎬地には流れる肌合いがある。平地は厚く地沸が付き明るく冴える。
刃紋:小互の目乱れを基調に小丁子、尖り心の刃などを交えて多彩な小乱れとなり、小沸厚く絡み、明るい光を放ち、刃縁には稲妻、金線かかり、頗る明るい閃光を放つ。刃中は匂が充満して霞だち明るい。
中心:磨上げ、無銘。茎孔弐個、鑢目は切。浅い栗尻。
帽子:互の目のまま乱れこんで帽子には湯走りが零れ、太い釣り針状の地景沸筋が絡み、金線、稲妻激しく顕れて先焼詰める。
越中の真景は呉服郷則重の高弟で純相州伝を踏襲し、かつ昇華させた南北朝期の貞治ごろの名匠として知られる。柔軟双方の地鉄の組み合わせは正宗や則重を踏襲したものであり、その姿が身幅広く、平地広くかつ平肉を落とした作り込みであること、および原姿は長巻であることから時代を貞治ごろと捉え、地鉄の鍛えは則重肌が渦巻いていることも熟慮するに真景との極めが付された。首肯するとともに、附帯の白鞘には鞘書があり、延亨元年の極めで但馬の法城寺国光との号とともに、茎に朱銘が施されたとの旨鞘書もあることも一考を要する。国光は貞宗三哲の一人で相州伝を加味した作域を示し、かつ長巻直しが多いことも要因かもしれない。いずれにしても勇壮かつ強固な造り込みに渦巻く則重肌による鍛えは稀有であり五箇伝中、南北朝時代の相州伝以外には紛れない優品。今回の出品にあたり、入念に研ぎ上げられ、古鞘を清掃し、銀無垢獅子目透しはばきを新調した。
白鞘付属。