G80726(S8119) 太刀 銘 美濃國住兼國作之 平成二十三年二月吉日(無鑑査刀工) | 平成二十三年 新作名刀展無鑑査出品刀 |
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現代刀 (平成二十三年/2011) 岐阜県 刃長 79.1cm 反り 2.9cm 元幅 33.3mm 先幅 23.1mm 重ね 7.7mm 刀身拡大写真 |
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尾川兼國刀匠は本名を尾川光敏。父である故、尾川邦彦・刀工銘『兼圀』無鑑査作家、岐阜県重要無形文化財保持者の次男として昭和二十八年(1953)に生まれた。神奈川県のガラス施工一級技能士としての職歴を経て、意を決して三十三歳の時に父のもとに入門、『尾川兼國』と名乗る。 父の『兼圀』とともに武芸八幡町にて鞴を構えて槌音を響かせた現代を代表する名匠である。父の『圀』と子の『國』の異なる字を充ててともに『かねくに』と読む。 尾川兼國刀匠は文化庁長官賞、日本美術刀剣保存会会長賞、薫山賞の数々の賞を連続受賞し、平成九年(1997)の新作名刀展では特賞の一・二席にあたる賞を尾川兼圀・兼國の親子が独占している。父の『兼圀』は平成十八年(2006)、人間国宝に次ぐ名誉とされる無鑑査作家認定、同二十年(2008)には岐阜県重要無形文化財認定保持者の栄誉に輝いたのに続き、子の『兼國』は平成二十一年(2009)には『無鑑査』認定をうけている。尾川親子は刀匠界の親子鷹として名を馳せて刀匠の血筋・巧の技、手際の良さと情熱を今に受け継いでいる。寄せては返す大きな波濤を想わせる『濤瀾刃』と呼ばれる刃文は父から子へと受け継がれ、兼國刀工はさらに美的に昇華させていくであろう。 表題の太刀は平成二十三年『新作名刀展』無鑑査出品の一口である。寸伸びて反り高く、殊の外腰元で深く反り、踏ん張りが豊かで猪首切先に結ぶ剣形、所謂鎌倉時代の古雅な姿恰好をしており、鎬筋が高く、平地の肉置きが豊かで重厚な手持ちは印象的である。 清涼な地鐵を用いて正確な鍛錬がなされた小板目鍛えの地鉄は、鍛接部が微塵に詰んで鉄色冴え、地沸が微塵について地底に柾目状の地景が繊細に表出して古風に肌立つ。焼刃は明るく冴え冴えとして浅い湾れを焼き精緻な沸が新雪のごとく厚く積もる。刃縁には鍛肌の柾目に呼応して無数の砂流し、金線などの沸筋が表出して、ほつれる様子が看取できる。帽子の焼刃は焼き詰め風となるなど大和色が顕著であり大和五伝中の所詮、『保昌』の作域を積極的に採り入れた優作である。無鑑査刀匠『兼國』は父の作域を超越、新たな分野を創造して多くの人々を魅了する。 金着せ太刀はばき、白鞘入り |
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