K536(T5011) 短刀 無銘 青龍子兼次 附)桐鳳凰図蒔絵短刀拵 |
保存刀剣 | |
新々刀 江戸時代後期(弘化頃/1844~) 陸前 刃長 25.9cm やや内反り 元幅 24.5mm 元重 7.2mm |
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剣形:片切刃造り、丸棟。身幅尋常に、重ねが厚くやや内反りのごころ。(刀身拡大写真) 鍛肌:地鉄柾目細やかに、地錵ついて地景はいる。 刃紋:直刃の刃縁はやや粗めの小錵が厚くついて匂口明るく、少しほつれ、金筋僅かにはいる。刃中は匂いを深く敷いて焼刃が明るく冴える。 帽子:掃きかけて火炎風に掃きかけて深く返る。 茎:生ぶ、無銘。目釘孔壱個。鑢目大筋違いに化粧。茎は栗尻張る。棟の小肉豊かにつく。 仙台の初代七兵衛兼次は安倫の門、寛文・延宝頃、和泉守兼重に学び、柾目鍛、枩皮肌、綾杉肌等の肌物を種々鍛えるという。二代の次左衛門尉兼次は四代国包に師事して大和保昌伝を学んだ。 表題の片切刃造短刀は五代目にあたる兼次の作刀。青龍子または盛龍子と号した。兼次、仙台住熊谷兼次、仙台治工青龍子兼次などと銘をきる仙台藩工で、弘化から元治を大凡の活躍期とされ明治二年紀の作刀があるという。 片切刃造で丸棟に仕立てられた稀有な造り込みをして、地鉄の鍛は精緻な柾目が好く錬れて美しい。焼刃は広直刃少しほつれて金筋僅かに入り、匂口はやや粗めの小沸が厚く絡むなどの作域から大和保昌のを念頭においての作品である。茎の化粧鑢目は大筋違が丁寧に施されて、棟の小肉は豊かについて栗尻張った茎の造り込みは青龍子兼次の作風を明示して出来がよい。 茎に鏨を運ぶことを謙り無銘とされた献上品であったのであろう。頗る上出来な注文造りの短刀拵が附され、他作に紛れることはない優品である。 附)桐鳳凰図蒔絵短刀拵(拵全体写真・刀装具拡大写真)
参考文献:『仙台藩刀匠銘譜』財団法人日本美術刀剣宮城県支部 昭和四十八年 |
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