K73153(S2561) 刀 銘 和州住於大坂包保作 (鏡文字) 特別保存刀剣
新刀 江戸時代初期 (慶長頃/1596〜) 摂津
刃長 76.7cm 反り 1.0cm 元幅 31.1mm 先幅 22.0mm 元重 6.6mm
剣形:鎬造り、庵棟高く、長寸で重ね厚く、鎬の高い姿に浅い反りがついて中峰のびごころ。(刀身拡大写真
地鉄:板目肌に刃寄り柾目交えて平地には厚く沸がついて地景はいる。
刃紋:大坂焼きだしに始まる湾れ刃には沸本位の箱乱れに尖り刃を焼き、湯走り・跳び焼き入る。刃縁には沸厚く積もり、刃中は匂い深く、互の目の太い沸足が放射して、ここに長い金筋・稲妻・砂流しがかかり頗る明るい光彩を放ち賑やか。
帽子:焼き強く、烈しく掃きかけて返り深い。
茎:一寸五分(4.5cm)程の磨上。佩表生ぶの鑢目は逆大筋違(鑢目が右上がり)、上部区送り部分および茎裏には切鑢、棟肉平。大きめの目釘孔二個。茎佩表の鎬筋上には大振りの鏨で鏡文字で『和州住於大坂包保作』の銘がある。
 包保は大和国手掻派の末流,文禄四年(1595)のころ大坂に移住したという。 生来左が利き、左右を反転させた鏡文字をはこび、『和州住於大坂包保作』、『包保』と鏨を左文字に切る。茎の鑢目も右上がりの逆筋違鑢を施している。
 後代の包保は陸奥守を任官、寛永頃(1624〜)の二代包保、通称『左陸奥』は『陸奥守包保』と鏡文字で銘をきり初代の名跡を引き継いでいる。寛文頃(1661〜)の三代は通称『右陸奥』と称され通常の右文字で『陸奥守包保』と銘をはこんだ。
 本作は現存稀は初代包保の打刀である。原姿二尺七寸弱に及ぶ長大な打刀はやや浅めに反りがついて中峰のびごころの慶長新刀姿を呈し、手掻系を明示する鎬筋の高い姿。大和伝を明示する柾目鍛は厚い地沸を敷いて太い地景が表出し、沸本位の焼刃は鍛肌に呼応した長い金筋・稲妻・砂流しなどの豊かな沸筋の働きが観取され躍動感溢れる。独創的な鏡文字の銘文の鏨は自由奔放で上作鍛冶としての名声誉れ高く、業物としての列位も高い。同工の技量を遺憾なく発揮した優刀である。
金着二重はばき、白鞘入り
刀 銘 和州住於大坂包保作
刀 銘 和州住於大坂包保作
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