O78318(S8120) 刀 銘 阿波守藤原康綱 以南蛮鉄作之 | 甲種特別貴重刀剣 | 1,125,000円 |
新刀 江戸時代中期(天和/1681年頃) 近江 刃長70.5cm 反り2.6cm 元幅31.6mm 元厚7.5mm 先幅22.7mm |
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剣形:鎬造り、庵棟、元身幅広く、重ねが厚い造り込みで、平肉豊かに付いて反り美しく高く付く。物打ち付近の刃側が張り、大振りの中切先に結ぶ。(刀身詳細写真) 鍛肌:板目肌よく詰み、地沸が厚く付いて細かな地景が沸き出でて地に乱れ映り状態の湯走りが現れる。鎬地は柾目状の肌目が目立ち、総体よく練れた上質な鋼で、強く冴える。 刃紋:元焼き出しより乱れこんで沸本位の互の目に丁子刃を交え、尖り心の刃もあり、刃縁に沸厚くつき、匂い深く乱れの谷に沸が更に厚く凝ってここに砂流し、銀線が入る。互の目や丁子の足太く刃先に向かい、上半の物打ち近辺はより沸が強く、匂い深くなり、一部に地に毀れる跳び焼きがあり、湯走り状となる。 帽子:小乱れ浅く湾れてここに砂流しかかる。裏は同じく小乱れで二重刃ごころがあり、掃き掛ける。 中心:生茎。茎尻剣形。目釘孔1個。大筋違の鑢目に磨り出しに化粧の切目鑢がある。佩表に長銘で「阿波守藤原康綱」の銘。裏に「以南蛮鉄作之」の切付がある。 重ねが厚く、鎬高く、平肉が豊かに付いてどっしりと重量がある。江戸時代中期頃には前時代の寛文延宝頃に頻繁に見受けられる元先の身幅の差が開き、寸が伸びて反りの浅い姿から、本作の如く反りが高く付いて身幅の張った姿の良い打刀が流行した時期と云われている。名鑑によると阿波守康綱は生国を近江、のちに摂津に移住とあることや「康」の字を名乗っていることから、近江出身の紀州石堂系統で備中守綱広とともに大阪に出た河内守康永の門で多々良長幸と同門と思われる。なるほど作域は丁子乱れを主調とし、複式の互の目なども交じり、さながら末備前の祐定あたりに私淑した作域はまさに備前伝であり、他石堂一派の多くに見られる直の焼きだしも見受けられず、焼きだしから互の目丁子をおいて、地に映りが立つなど、さながら同門の多々良長幸の末備前写しをを思わせる作風で、姿が良く出来が優れる。 金着せ二重はばき、白鞘入り(佐藤寒山鞘書) |
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