T165862(W6959) 脇指 銘 豊後守源正全 特別貴重刀剣
新刀 江戸時代前期(寛文頃/1661~) 尾張
刃長 54.1cm 反り 1.2cm 元幅 30.5mm 先幅 22.3mm 鎬高 7.4mm 元重 6.5mm
剣形:鎬造り、庵棟。身幅広く元先の幅差さまに開かず鎬筋が高い。やや深めの反りがついて中峰のびごころ。表裏には、はばき上丸留の棒樋の彫物がある。(刀身拡大写真
鍛肌:小杢目肌つんだ精緻な地鉄に地沸が微塵につき地景入る。
刃文:匂口の締まった焼刃は元を直に焼きだし、背高の腰が括れた丁子乱れはやや逆がかり、一部は複式の互の目を交えて処々跳び焼きがある。焼刃の谷に小沸が厚くついて刃中の匂充満し匂口明るく冴えて賑やか。
帽子:横手下で互の目を焼いて直ぐ調子にのたれて中丸となりやや深く返る。
茎:生ぶ。目釘孔壱個。栗茎。粗い鷹の羽鑢、棟小肉ついてここに大筋違の鑢目がある。佩表の目釘孔下、鎬筋上には大振り太鏨で『豊後守源正全』の長銘がある。
 正全(まさやす)は尾張の産。石田善左衛門という。美濃坂倉関正利の末葉で、はじめ山城三品金道の門人となったのち名古屋鉄砲町に住した。年紀は明暦三年にはじまり延宝九年までの添銘をみる。銘の鏨は太く、鷹の羽の鑢目荒い。地肌は小杢目よくつみ、刃文の互の目乱れは尾張刀工中出色の出来映えで地刃ともに冴える。
 この脇指は刃・棟区共に殊の外深く、刃区付近には生刃が遺る極めて健全な体躯をしている。茎の錆色優れ、躍動感溢れる鏨運びの銘文は明瞭。伯耆守信高と列び尾張新刀の両雄と称される正全の優品である。
金着二重はばき、白鞘入(佐藤寒山先生鞘書
参考文献:岩田與『尾張刀工譜』文化財業書台八五号、昭和五十九年
 
脇指 銘 豊後守源正全
脇指 銘 豊後守源正全
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