T24715(S6009) 刀 無銘 古三原
徳川慶頼公伝来
附)刀箱  附)香色牡丹金襴包鞘兵庫鎖太刀拵
第五十四回重要刀剣
解説 押し型
特別保存刀装具
古刀 南北朝時代(約650年前) 備後
刃長70.8cm 反り2.0cm 元幅32.1mm 先幅23.1mm 重ね6.5mm
剣形:鎬造り、庵棟。身幅広めで、元先の差が僅かに付き、重ねがやや薄めで、大磨上ながら反りが深めに付いて中鋒延びごころ。(刀身拡大写真
地鉄:小板目に杢交じり、処々流れ、総体に細かに肌立ち、地沸つき、淡く白け映りが立つ。
刃紋:細直刃を基調に、小互の目交じり、小足よくはいり、葉を交え、匂口しまりごころに小沸よくつき、僅かに砂流しかかり、処々に打のけかかる。
帽子:直ぐにふくらに沿って先小丸やや深く返る。
彫物:樋先をやや下げて、棒樋を区際で掻き流す。
茎:大磨上げ無銘。先刃上がり栗尻。鑢目上部は勝手下がり、その下から筋違い。目釘孔一個。
備後国の「古三原」に極められた優刀。鎌倉末期に興り、以降室町時代末期に至るまで繁栄した。一派の内、鎌倉末期から南北朝期にかけてのものを「古三原」と称している。備後は良質の鉄を産したことで名高い。この地方には中央大社寺の荘園が多く、三原派の作風には大和気質が窺われるのもこうした畿内との交流によるものと推察される。この刀は身幅が広めで元先の幅差がわずかにつき、反りが深めについて、中鋒が延びごころの姿は、南北朝時代の特色が反映され、また樋先を下げていることもこの期によく見られるところである。鍛えは板目肌に杢目や流れ肌が交じり、肌立ちごころとなり、淡く白け映りをみせ、刃文は細直刃を焼き、匂口がやや締まり、小沸がつき、部分的にほつれや食違い刃風をみせ、帽子が穏やかな小丸となり、地刃の様相に大和伝の影響を窺わせる。堂々とした姿形には迫力があり、刃縁にあわられた細かな働きが味わい深い一口で付帯の刀箱の裏蓋には「嘉永二酉年十二月十一日慶頼公御婚姻之御禮被為仰上候節被遊御拝領候」の金書があり、徳川慶頼公伝来 (田安家五代・八代当主)である。
附)香色牡丹金襴包鞘兵庫鎖太刀拵(特別保存刀装具)
総金具 桔梗紋図 無銘 銀磨地 鋤下彫
真目貫 花文図 銀地 容彫 銀陰陽目釘付
鍔 倒卵形 銀磨地 花先蕨手透大切羽二枚 銀磨地 地透
柄 香色金襴着 桔梗紋図俵鋲 銀地 容彫
銀無垢はばき、白鞘入