T252891(S2216) 刀 銘 羽州米沢住保弘 天保十年十月日
附) 金箔押変塗鞘太刀拵
保存刀剣
江戸時代後期 (天保十年/1839) 出羽
刃長 69.7cm 反り 2.4cm 重ね 7.6mm 元幅 31.7mm 先幅 20.3mm
剣形:鎬造り、庵棟やや低め。常寸法に重ね厚く、身幅広く踏ん張りがある。中間反りが高く茎にも反りがあり中峰延びごころ。(刀身拡大写真
鍛肌:板目に大杢交じり、総じてやや肌立ちごころとなり地沸付く。
刃文:やや低く焼きだして小互の目に小丁子刃を交え、処々跳び焼きがあり、棟焼きがあるなど闊達な焼刃をしている。刃中匂い充満し、互の目の足僅かにはいり、葉浮かび、僅かに砂流しかかる。刃縁には小沸積もり冴えてて総じて華やかな印象の刃文をしている。
帽子:中鋒延びる。横手で互の目を焼いて直ぐ調となり中丸に返る。
茎:生ぶ。目釘孔一個。鑢目大筋違いに化粧。栗尻張る。掃表には長銘で『羽州米沢住保弘』、裏には『天保十年十月日』の年紀がある。
 江戸時代後期の米沢藩工には水心子正秀門下の加藤綱英・綱俊兄弟が高名であり、弟子の赤間綱信も師伝の備前伝をよく伝えて上手である。表題の『保弘(やすひろ)』は『保広』同人とおもわれ、『日本刀銘鑑』には天保三年紀の作例が記載されている。加藤一門での長年にわたる勤務のためか、自身銘の作刀が稀有である。
 表題の刀は常寸法を保ち重厚な重ねを保持して打刀に比して高い反りがあり、所謂美しい太刀姿をしている。匂い本位の丁子乱れは焼刃の形状・大きさ・高さの変化に富み、処々に飛び焼きを交え、棟焼きがかかるなど自由闊達な焼刃を相しており華やかである。同時代の打刀は平地に比して鎬地狭く、重ね厚く、身幅の広い造り込みが多く、重量のあることが特徴でもある。健全な体躯を讃える秀逸な太刀である。
同時代の金箔押変塗鞘太刀拵(各部拡大写真)も出色の出来で保存状態も優れる優品である。
  • 総金具(兜金・縁唐物・口金物・足金物・責金物・石突金物):猪目小透、赤銅磨地、太鼓金高彫 金色絵 燻革太刀下緒
  • 鐔:刳込葵形 鉄地鋤彫 槌目地 耳銀唐草象嵌
  • 薄香色金襴着 黒撮巻柄 目貫 菊仙人図 金色絵 容彫
金着太刀はばき、白鞘付属
参考資料:本間薫山・石井昌國 『日本刀銘鑑』 雄山閣 昭和五十年