T264105(T3544) 短刀 銘 |
保存刀剣 |
古刀 室町時代後期(天文/1532年頃) 豊後 刃長25.4cm 無反り 元幅22.5mm 重ね5.9mm |
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剣形:平造り短刀。無反り。三つ棟。身幅、重ね共に尋常で、ふくらの枯れた姿をしている。表裏には二筋腰樋の彫物がある。 (刀身拡大写真) 鍛肌:板目肌よく錬れて棟寄りと刃寄りに処々柾流れる肌を交え、鉄色冴え総体潤いのある鍛肌をしている。 刃紋:小沸出来の中直刃。匂口締まり、浅く湾れて鼠足入り、刃中は匂いを敷いて霞んで葉が頻繁に浮かぶ。 帽子:僅かに乱れ、先小丸に尖りごころ、やや堅く留る。 中心:生ぶ。鑢目は浅い勝手下がり。棟に小肉付き、棟鑢は大筋違。茎尻刃上り栗尻。目釘孔二個(内一個埋)。佩表のやや棟寄りに二字銘『鎮方(しげまさ)』とある。 南北朝時代豊後高田(現在の大分市内で大分郡高田村)を中心として栄えた一派で建武頃の筑前左文字の門人『友行』を始祖としている。戦国時代の同派は豊後国のキリシタン大名、大友 鎮方は豊後高田住。『日本刀銘鑑』によると、初代を天文頃、「右近」と称し平姓を名乗ったとある。右近の子、「孫右衛門」は二代を継いでいる。大友義鎮に仕え、「鎮」の一字を賜っている。 本作は山城国、来一門の作に私淑した短刀。銘振りより初二代を判別することは困難ではあるが、寸法がやや延びて、身幅は頃合いで無反りであることから天文頃の特徴を示している一口である。同時代の豊後の作品には現存する短刀は稀有で、通常の作品と比較して、鉄色は冴えて凛とした良い姿をしており、潤いある地鉄、直刃小乱調の刃文や茎の入念な仕立てなど、総てにおいて枯淡な作域が印象的。500年を経過して尚、健全な体躯を備えた一口である。 白鞘入、金着はばき 参考資料: 石井昌国・本間薫山 『日本刀銘鑑』 雄山閣 |
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