Tuba2833a

雁金下り藤透図 京透鐔

無銘  京透

丸形、鉄磨地、地透、角耳赤銅覆輪、両櫃孔

縦 83.8mm 横 83.6mm 6.7mm(耳)


京透鍔は室町時代末期から江戸時代初期に京都を中心にして制作された地透鐔。鍛錬の良い鉄をに用い優雅に巧緻造形で洗礼された表現が見所。切羽台は柿の種のように縦長でやや薄手になるものが多い。文様は八橋、茗荷、梅、下り藤、菊、雁、鶴などの図案的な意匠に優れたものがあり多くは丸形もしくは菊形である。
この下り藤透鐔は常より大きく、中低薄手に仕立てられ精練された地鉄の漆黒錆色が深く美しい。鐔全体に拡がる下り藤、雁がねを櫃孔に模した端正な細い線は精巧な手法で地透かしされている。京透鐔の作者は実用目以上に、透彫による雅趣の表現に執心したことが伺えよう。桃山時代、山城の風雅な装いを有する垢抜けした構図と卓越した透彫の技倆には透鐔王者の品位と風格が備わる。