Tuba2643a

波千鳥透図鐔

無銘 正阿弥

丸形 鉄鎚目地 肉彫地透 毛彫 片櫃孔 角耳小肉

縦 75.4cm 横 75.0mm 重ね 4.2mm(耳) 4.2mm(切羽台)

保存刀装具鑑定書

 丸形の地鉄を鎚目に仕立て、太い角耳の縁にはうち寄せる波濤を配する大胆な図称。大きな切羽台を雁金で繋ぐ動的な地透し図は正阿弥派の伝統である。金工の『正阿弥』は刀剣の『本阿弥』と列んで足利将軍に仕えた権威ある家柄で、幕政時代は京都堀川を本拠としてその門流は全国の城下町に召されておおよそ五百年の永きにわたって繁栄した。

『古正阿弥』は室町時代から桃山時代にかけて作品の呼称で、江戸時代の作品は『正阿弥』と呼称されている。

 この鐔は正阿弥派の手法を保持しながら、動的な図案の意匠に工夫を凝らして尾張柳生鐔の隆盛した世相を採り入れて作域を広げている。江戸時代中期