Tuba2806a

投桐透図鐔

銘  茄子川住一成作

成木一彦(中津川市無形文化財 無鑑査)

竪丸形、鉄磨地、地透、肉彫、毛彫、丸耳

縦 85.2mm 横 84.1mm 5.7mm(切羽台) 4.8mm(耳)

上質落込箱

成木一成氏は、昭和六年(1931)、岐阜県中津川市に生まれた。同三十五年(1960)頃、鐔の研究・試作をはじめ高橋介州氏に師事。長年にわたり、尾張・金山・赤坂・肥後などの鉄鐔の復元を試み、自ら材料の砂鉄を全国各地から集め、自家製たたら製鉄によってその古雅な地鉄の再現に努めた。鉄地の表面処理の焼手腐らかし技法の復活にも挑戦し独自の鉄鐔の世界を展開している。
昭和56年(1831)、中津川市の無形文化財保持者に認定、同61年(1986)に黄綬褒章を受章。平成21年(2009)、公益財団法人日本美術刀剣保存協会より無鑑査に認定された鐔の名工である。

表題の鐔は精緻な鍛練の鉄地竪丸形。切羽台から丸耳にかけて僅かに重ねを薄くして碁石型としている。茎櫃には風にたなびく桐花と葉を陽透として彫残し、桐葉には線彫りを充てている。精緻な地鉄を用いた絶妙な肉置きに切れ味の鋭い大胆な構図は肥後神吉あたりに範を採ったのであろう。