H105401(W8049) 小脇指 銘 右五郎宗栄 文政十一年八月日 附)黒蝋色塗鞘小さ刀拵 |
特別保存刀剣 |
新々刀 江戸時代後期 (文政十一年/1828) 播摩 刃長 32.7cm 反り 0.6cm 元幅 29.6mm 元厚 6.2mm |
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剣形:平造り、庵棟。身幅広く、寸伸びて元先の身幅差はさまに開かずふくら張り、反りやや深くついた大振りな小脇指。(刀身拡大写真) 鍛肌:小板目よく詰んで杢目交えた精緻な地鉄。地沸が微塵について地景が沸いて地鉄強く、鉄色明るい。 刃文:沸出来の大互の目に大房丁子を交える。刃縁にはやや粗めの叢沸が厚くついて太い沸足が刃先に放射して、乱れを湾れ刃で繋ぎ、乱れの谷には沸が凝ってここに砂流し頻りと流れて頗る明るい。大乱れ焼刃の頭より湯走りが放射して棟焼きに繋がり地斑調の沸映りがある。 帽子:大房丁子刃を焼いてふくらに沿って直ぐとなり、先中丸となり棟に深く焼き下げる。 茎:生ぶ。栗尻、鑢目はごく浅い勝手下がり。棟肉が豊かについて、ここには大筋違の鑢目がある。目釘穴二個。佩表の中頃に長銘『右五郎宗栄』、裏には二字分上がって『文政十一年八月日』の年紀が刻されている。 鈴木五郎右衛門尉 藩主の命により筑前左文字を写して出来映えが優れ、綱政公より『左』に対峙する『右』の称号が下賜された。以降は茎に『右作』、『右五郎』、『右衛門尉』等と冠している。以降、右五郎宗栄は天保頃(〜1843)まで白鷺城下姫路藩工として数代仕えたという。 本刀は文政十一年紀(1828)を有する年紀作である。身幅広く、刃長が一尺七分と寸が延び重ねたっぷりとふくら豊かに張る重厚な造り込みの威風堂々たる体躯で重厚な手持ちが印象的。良質の千種鉄を用いた卸鉄による鍛錬と焼刃は清涼に澄んで鉄色冴え、相州伝を念頭に於いた焼刃の沸匂が明るい閃光を放ち冴えている。茎の鑢目は明瞭、銘の鏨枕が活き活きと躍動して錆色良好。出色の出来映えの優品である。 附)五月雨黒漆塗鞘打刀拵(拵全体写真・刀装具拡大写真)
参考資料 : 本間薫山・石井昌國 『日本刀銘鑑』 昭和五十年 |
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